洋楽で学ぶ英語: “Seasons of Love”|数字&価値を学ぶ授業案

英語レッスン、イベント

こんにちは。長崎・諫早から、つまずきも味方にする学びを届ける Nary です。

今回は、英語指導者の皆さん、そして洋楽で英語を楽しく学びたいすべての方に向けて、ミュージカル名曲 “Seasons of Love” を教材にした、20分完結レッスンプランをご紹介します。


なぜ「Seasons of Love」を選んだのか

私がこの曲を初めて聴いたのは、偶然観に行った英語ミュージカル『Rent』のステージでした。冒頭に響く

“525,600 minutes”

のフレーズに、胸をぎゅっとつかまれる衝撃を今でも鮮明に覚えています。

「525,600 分…? 一年を分で数えるってどういうこと?」

驚きとともに「1年を分に換算した数値」の大きさに圧倒され、さらに歌詞が示す「時間だけでは測れない、一年の重み」に深く共感しました。

── “Measure your life in love.” ──
「愛で人生(一年)を測ろう」というメッセージは、単なる数字学習を超え、生徒の心にじんわり届くはずです。


背景知識:「Rent」とは?

  • ミュージカル初演(1996年)
    ニューヨーク郊外に暮らす若者たちの友情や愛、社会問題をリアルに描き、トニー賞など数々の舞台賞を受賞。

  • 映画化(2005年公開)
    新たなキャストでスクリーンに蘇り、舞台とは異なるダイナミックな映像美が魅力。

  • 共通点
    どちらも“Seasons of Love”が作品の核として登場し、「時間と愛」を強く訴えかける名シーンを演出します。

Tips:
ミュージカル映像と映画クリップ、両方のリンクを用意することをオススメします。 生徒たちに「舞台文化」と「映像文化」を比較しながら英語を楽しんでもらうと、興味がさらに深まります。


Nary の想い

英語の大きな数字を学ぶのはとても難しい。
単に文字や数字としてではなく、リズム付きの、しかも琴線に触れるような洋楽を使えば、耳も心も開き、楽しみながら身につく!そんな体験を生徒と共有したい。
そして“525,600 分”という数字の先にある、“時間では測れない価値”を英語を通して分かち合いたい。

この想いがあるからこその活動ステップを以下にご紹介します。レッスン生が自然と英語に向き合い、自分の言葉で表現できるレッスンプランとなっています。


レッスンのねらい

  1. 大きな数字の聞き取りと読み方を身につける
    英語は「百(hundred)」を基本に数え、千(thousand)、百万(million)へと段階的に理解を深めます。

  2. 歌詞を通して「1年の価値」を考える
    「分」「光」「笑い」「苦しみ」など、多様な視点で“人生(時間)”を測る表現を味わいます。

  3. 自分の視点で「I measure my year in …」を表現する
    フレームワークに沿って、自分なら1年を何で測るかを考え、英語で発信する体験を提供します。


映像教材リンク(予習・復習用)

たくさんのビデオクリップがありますが、私が使用したのが以下のサイトの映像です。1.に字幕をつけて、英語歌詞を見せました。

  1. 映画映像

  2. 日本語訳付き同箇所動


20分完結レッスンの流れ

時間 活動 ねらい
0:00–05:00 Warm‑up & 数字チャンツ
• 知っている数字をシェア
• 手拍子で“525,600 minutes”をリズム読み
ty/teen 発音に意識
• 大きな数字をまとまり読みで体感
05:00–13:00 歌詞フレーズ&意味確認
1回目:映像+英語字幕
2回目:映像+日本語訳
語句&意味シート提示
• 抽象的フレーズを具体イメージへ
• 語彙力の土台強化
13:00–17:00 好きなフレーズ選択+深掘り
• 並べ替えアクティビティ(Google スライド)
• “Which phrase do you like best? Why?”
• 文脈理解
• 共感理由を言語化
17:00–20:00 自由英作文
• 文型フレーム提示:I measure my year in ___.
• 英文作成&発話
• フレームに沿った自力構文作成
• 自己表現体験

活動ポイント

1. warm-up+数字チャンツ

    • 知っている数字をどんどん言わせる。

    • teen / tyやeleven, twelveあたりがあやふやな生徒の確認にもなる
    • 大きな数の数え方確認:thousand以上であれば、, の順にthousand, million, billionなどを伝え、その間にある単語は100の位の読み方までわかれば読める、わかる、ことを伝える(ex) 1,234, 560 (one million two hundred thirty four thousand five hundred sixty)

大きな数には苦手意識があったけど、今回きちんと教えてもらって、複雑に考えすぎていたんだな、と思った。(大人レッスン生)

2. 歌詞フレーズ+意味確認

  • 下の表のように一目でわかるようにしておくと初級学習者にはわかりやすいです。
  • 提示した歌詞以外にも、中高生にはthe bridges he burnedなどは「燃やした橋」とは「断ち切ってきた絆」などと深い意味を持っているんじゃないかな、など比喩表現に着目することもオススメです。
フレーズ 日本語訳
In daylights, in sunsets 日の光の中で、夕日の中で
In midnights, in cups of coffee 真夜中に、コーヒーのカップの数で
In inches, in miles インチで、マイルで
In laughter, in strife 笑いの中で、苦しみや葛藤の中で

2-1 並べ替えアクティビティ

歌詞の内容を理解したところで、リスニングをしながら再度並べ下活動を行いました。今回使用したのは、LearningAppsOrg.さんのものです。いかにリンクを貼っています。

 

2-2 理由をつけてお気に入りの歌詞紹介

歌詞の全体像が見えてきたところで、どの部分の歌詞が好きか理由を踏まえて答えてもらいました。

(T) Which phrase do you like the best?

(S1) I like “Five hundred twenty five thousand six hundred minutes, because I didn’t know we have so many minutes in a year.”

(S2) My favorite phrase is “In cups of coffee.”  I found that there are many ways to measure a year.

 

上記の2例は実際にレッスン生から出てきた解答です。特にS1が選んだ数字の部分は、半分ほどのレッスン生が選んでおり、本教室ではこの数字が大きなインパクトだったことがうかがえました。

 

3. 自由英作文

時間の捉え方は人それぞれ違う、ということをこの歌を通して学ぶことができましたので、「自分ごと」に置き換えた活動を行いました。その場で思いつかなかったレッスン生には宿題として考えてもらい、次のレッスンで意見を共有しました。以下にレッスン生が挙げた例を紹介します。

    • I measure my year in the distance I run.
    • I measure my year in smiles I have.
    • I measure my year in the events I enjoy.
    • I measure my year in the races I joined.
    • I measure my year by the encounters I have.

ちなみに、私のレッスンでは、1年を表すのにmy yaerを使いました。というのも、自分の経験からどうやって1年を測る?ということでしたので、「自分の1年」という感情や体験を語る活動にしたためです。赤字はレッスン生によってそれぞれの味が出ていて面白いな、と感じます。
narynglishでは、これらの生徒の言葉はレッスン記録帳に記録し、後日振り返り素材にしています。


帯活動としての活用アイディア

日々の授業ではまとまった時間を確保しにくい…そんな声に応えるのが、**「帯活動」**として毎回10分ずつ取り入れる方法です。1ヶ月(または長期休業前の1週間)を通じて、以下の6ステップを順に実施すれば、歌と数字の学びが自然に定着します。

1. 数字リフレッシュ&チャンツ(10分)

活動内容:

    • 生徒が知っている数字をどんどん言い出す

    • 百の位までの数字を確認する

指導形態:全体(一斉指導)

ねらい :数字の復習:ty/teen発音への意識づけ

2. リスニング復習+大きな数字確認(10分)

活動内容:

    • 前回扱った映像(英語字幕付き)をリピート再生

    • “525,600 minutes”の言い方+大きな数字の読み方確認

指導形態:全体(一斉指導)

ねらい :曲に親しむ+数字への苦手意識軽減

3. 意味フォーカス(10分)

活動内容:

    • “525,600 minutes = one year” の意味を確認

    • “How do you measure a year?” を投げかけ

指導形態:全体(一斉指導)

    • 全体ワーク

ねらい :歌詞のコアメッセージ理解

4. フレーズ確認&歌詞チェック(10分)

活動内容:

    • 1番を英語→日本語訳の順で聴く

    • 語句&意味シートを見ながら、気になる表現にマーカー

指導形態:全体(一斉指導)またはペア

ねらい :抽象的表現の具体化&語彙強化

5. ペア Brainstorming(10分)

活動内容:

    • 復習を兼ねて曲を流しながら

    • “I measure my year in ___”を考え、ペアでシェア

指導形態:ペアワーク

ねらい :発話準備&思考の深掘り

6. シェア&フィードバック(10分)

活動内容:

    • ペア発表からいくつかをクラス共有

    • Feedbackはポジティブかつ理由まで深掘りできるとよい

指導形態:全体(一斉指導)

ねらい :自己表現力向上&安心感の醸成

毎回10分、計60分を分割して無理なく継続。
歌えるようになる頃には、生徒自身が活動をリードできるようになります。
音楽と英語を“楽しむ”時間として、生徒のモチベーションも自然とアップ!
この帯活動で、日常授業に「洋楽de数字&価値学習」を定着させてみてください。帯学習のあとの学習活動や次のプロジェクト学習、全体発表にも、きっとよい影響をもたらします。

まとめと次の一歩

この 20分完結プラン 及び 帯活動プラン なら、英語の大きな数字「1年の価値」を同時に学び、生徒が自分の言葉で表現する楽しさを味わえます。

好きな洋楽を教材に、数字のハードルを下げ、生徒が“一年の価値”を自分の言葉で語る瞬間を一緒に楽しみましょう。

この記事が、あなたの英語指導に新たなヒントをもたらすことを願っています。次回の洋楽で学ぶ英語シリーズもお楽しみに!

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