5月に読んだ本の中で、最も印象に残ったのが『科学的根拠で子育て』(中室牧子 著)でした。 教育・子育ての現場で日々奮闘している私にとって、この本は、これまでの経験に”確かな後押し”をくれる1冊だったと思います。
経験だけじゃ、足りないかもしれない
narynglishでは、日々のレッスンの中で、「生徒一人ひとりの小さな成功体験を積み重ねること」や「自分で学ぶ力を育てること」を大切にしています。
そしてそれらは、これまでの現場経験や、生徒の表情から”感覚的に”「良い」と信じて取り組んできたことでもあります。
けれど、ふとした瞬間に思うのです。
— このやり方は、本当に正しいのだろうか? — 他にも、もっと効果的な方法があるのでは?
そんな“経験からくる不安”に対して、「科学的根拠(エビデンス)」という別の視点をくれたのがこの本でした。
この本で得た5つの気づき
本書では、多くの研究結果やデータに基づいた「子育て・教育に役立つ知見」が紹介されています。
その中から、私が特に印象に残った5つの気づきはこちらです:
- 子どもが「できた!」を感じる小さな成功体験が自信を生む
- 周囲からの信頼や期待が、子どもの成長を後押しする
- 親の声かけ一つで、学びの意欲は大きく変わる
- 「できる・できない」を決めるのは、子ども自身
- 学び方は「あとから育てられる力」
どれも、narynglishのレッスンで実際に大切にしている姿勢と重なるものでした。 たとえば、英語が苦手だった生徒が「自分で話せた!」と目を輝かせる瞬間。 また、ある保護者の一言が、生徒のやる気を大きく変えた場面。
そうした日々の実践の中で「なんとなく良さそう」と感じていた取り組みに対し、
「やっぱり、これでよかったんだ」
と背中を押してくれるようなエビデンスが、この本にはたくさん詰まっていました。
教育は、信じて見守る力
教育も子育ても、“正解が一つではない世界”です。
子どもたちは、それぞれ違うスピードで成長し、違う方法で力を伸ばしていきます。 だからこそ、大人に必要なのは「一人ひとりのプロセスを信じて、待つこと」。
この本は、そうした姿勢を理論的に裏付け、エビデンスという形で支えてくれます。 特に、著者の中室氏が紹介する「小さな成功の積み重ねが自己効力感を育てる」という話には深く共感しました。
現場にいると、つい結果を急ぎたくなります。 けれど、「今すぐの成果」ではなく「数年後の姿」を想像する視点が、どれほど子どもの可能性を広げるか——。
それを、改めて気づかせてくれる本でもありました。
自分で選んだ道を、正解にしていく力
印象的だったのは、子ども自身が「できるかも」と思えるような関わりがあってこそ、成長の扉が開いていく、ということ。
narynglishでも、間違いや失敗を「成長のチャンス」と捉えるように声をかけています。
生徒の中には、最初は自信がなかった子が、少しずつ自分のペースで「伝えることの楽しさ」を見つけていきます。 その過程を支えるのが、大人のまなざしと声かけ、そして信頼の積み重ねなのだと。
子どもたちが伸びる道は一つじゃない。 けれど、自分で選んだ道を「正解にしていく力」は、そうした関わりの中で確かに育っていきます。
紹介しきれない魅力がたくさん
今回の投稿では、特に心に残った5つのポイントを紹介しましたが、 本書にはこのほかにも興味深い研究や事例が数多く載っています。
・褒め方の違いが子どもの成長にどう影響するのか? ・親の経済状況と学力の相関性 ・読み聞かせの効果と、実際の学力との関係
など、実際のデータをもとにした切り口は、どれも読みごたえがあります。
子育てをしている方だけでなく、現場の教員や教育に関心があるすべての方にとって、 「自分の感覚を見直し、確信へと変える」ヒントをくれる1冊だと感じました。
最後に
子どもたちは、ちゃんと伸びている。
今回の読書を通して、そのことを改めて実感することができました。
そして、
narynglishが目指したいのは、 「子どもたちが、自分の力で未来を切り拓いていく力」を育てる場所。
エビデンスと経験の両方を大切にしながら、 これからも、学びの場を一緒につくっていきたいと思います。
【関連リンク】
- 『科学的根拠で子育て』(中室牧子 著) [Amazonリンク]
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