「子どもが翻訳アプリを使って英語を書いているけれど、このままでいいんでしょうか?」
最近、こんなご相談をいただきました。
便利な翻訳アプリ。でも保護者からすると、
「便利なものに頼りすぎて英語力がつかないのでは?」
「自分で調べて書いた方がいいのでは?」
と心配になるのは自然なことです。
そこで今回は、実際にあった保護者の相談と、narynglishでのレッスンを紹介しながら、
「翻訳アプリを使うことは本当に大丈夫なのか?」
について、長年の指導経験やこれまでの学びに基づいてお伝えします。
Padletを使ったレッスンからのご相談
narynglishでは、writing練習の一環として Padlet というツールをよく使います。
Padletとは、オンライン上で使える掲示板のようなサービス。生徒が書いた英文を投稿でき、講師がリアルタイムでコメントを入れることができるので、遠隔でも便利に使える学習ツールです。
そんなPadletでのwriting練習について、ある保護者さまからご相談がありました。
娘がPadletのライティングで翻訳アプリを使っていることに気づきました。
なるべく自分で単語を調べて書いてほしいけれど、間違いが増えそうで心配です。
このまま翻訳アプリを使わせてもいいのでしょうか?
まさに、多くの保護者が抱く不安ではないでしょうか。
私の答え:翻訳アプリは学びのきっかけ
私の答えはシンプルです。
翻訳アプリを使うこと自体は問題ありません。
大切なのは「アプリを使った後にどうするか」。
つまり、その表現を自分の力で再現できるか(=Reproduction) です。
翻訳アプリは「ズル」ではなく、むしろ「学びのきっかけ」をくれる便利な道具です。
そこから子どもが新しい表現に気づいたり、間違いに自分で気づけたりすれば、英語力は確実に伸びていきます。
narynglishでのレッスンフォロー
narynglishでは、翻訳アプリをただ使うのではなく、次のステップを大切にしています。
- 声に出して再現する
Padletに投稿した英文を、声に出して言ってみます。
一度書いた英文なので、抵抗なくスピーキングにつなげられます。 -
同じ内容を自分の言葉で書き直す
書いた内容を「自分の英作文」としてもう一度表現してみます。
アプリに頼るだけではできない「表現する力」を伸ばすステップです。 -
翻訳文と自作文を比べる
翻訳アプリの文と比べて「違い」に気づきます。
スペルを直したり、「意外と書けている!」と自信を持ったりできます。
こうした3つのステップで「セルフモニター力」が育つからこそ、翻訳アプリは学びの味方になります。
実際の生徒エピソード
Padletを使ってライティングに取り組んでいたある日のこと。
翻訳アプリの文と自分の文を見比べていた生徒が、こんな発見をしました。
最初に気づいたのはスペルミス。
「あ!rをlで書いてる!」と、自分で Amelica と書いていたことに気づき、正しく America に修正しました。
続いて、翻訳アプリの文を見ながら、
「Americaって “the U.S.” って書けばいいのかぁ」と一言。
ここで、新しい表現の仕方を自然に学び取っていました。
最後に、自分の文章全体を見返して、
「あ、私、結構書けてる!」とニコッと笑顔に。
間違いに気づき、新しい表現を発見し、さらに「自分はできている」と感じられた瞬間。
翻訳アプリを使ったからこそ、この気づきの連続が生まれたのです。
Reproduction(再現力)の重要性
では「再現力」とは何でしょうか?
英語教育における Reproduction(再現活動) とは、インプットした表現を自分の力で再び使えることを指します。
教育研究でも、Reproductionは有効な学習法として認められています。
-
Communicative Language Teaching(CLT) では、聞いたり読んだりした表現を再現する活動を通じて、言語運用力が伸びるとされています (ERIC論文PDF)。
-
Task-based Learning でも、再現や言い換えのタスクを行うことで記憶が定着しやすいことが報告されています。
-
また、「気づき(Noticing)」の理論 によれば、自分の文と翻訳アプリの文を比べることで、語彙や文法に対する意識が高まり、学びが深まります (Tandfonline研究論文)。
つまり、翻訳アプリは「答えを写す道具」ではなく、気づきと再現を促す学習のパートナーになり得るのです。
家庭でできるサポート
ご家庭でも、簡単にできる工夫があります。
-
翻訳アプリを使った後に、一文だけ声に出して一緒に読んでみる
-
「どんな表現が出てきたの?」と興味を持って話を聞いてみる
これだけでも、子どもは「学びを共有してもらえた」と感じ、自分で使う力がぐっと伸びます。
保護者の声に支えられて
今回のご相談のように、保護者の方からの「ちょっとした報連相」があることで、レッスンをもっと子どもに合ったものにできます。
小さな気づきや日常の一言が、子どもたちの学びを確かなものに変える。
narynglishはそんな「先生+保護者+子ども」のトライアングルで学びを育てています。
まとめ
翻訳アプリを使うことは No problem!
大切なのは、使った表現を 自分で再現できる力=Reproduction を育てることです。
間違いに気づき、新しい表現を学び、できている自分を発見する――。
翻訳アプリは、その「気づきの連続」を生み出すきっかけになります。
そして、保護者のみなさまの声があるからこそ、学びはもっと深まります。
いつもありがとうございます🍎
体験レッスンのご案内
narynglishの魅力のひとつは、講師Naryの親しみやすさ。
保護者の方も、生徒さんも、気軽におしゃべりする感覚で安心してご相談いただけます。
「翻訳アプリを使ってもいいの?」
そんな小さな不安や疑問も、体験レッスンでぜひ一緒にお話ししましょう。
ご自身の、あるいはお子さまの英語学習に不安がある方、どうぞお気軽にご相談ください。
質問はLINEまたはお問い合わせフォームからどうぞ。
投稿者プロフィール

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英語指導歴20年以上/英検1級/元高校英語教員
長崎県諫早市の英語教室「narynglish」主宰 吉田恵子(Nary/ナリ)
【学歴・職歴】
• 大学在学中 カリフォルニア州立大学フレズノ校へ1年間交換留学
• 2000年 長崎県公立高校教諭として採用
• 2008年 早稲田大学大学院教育学研究科 修士課程修了
• 2023年 公立高校教諭を退職後、narynglishを起業
一人ひとりの「わからない」を大切に、「つまづき」を飛躍のチャンスに変える英語レッスン。
実践的な英語力に加え、自分で考える力・継続力・非認知能力を英語を通して育みます。
中学生、高校生が将来にわたって英語を使いこなせるよう、英検対策・定期テスト・留学準備を土台から支援。
「安心して取り組める」「前向きになれる」と評判で、naryとまた学びたい!と言ってもらえる英語教室です。レッスン方法は、対面・オンライン・ハイブリッドの形式から選べます。
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