「英語を話す」という行為に対して、私たちはいつから、完璧な文法や淀みのない発音という「正解」ばかりを求めるようになってしまったのでしょうか。
2026年2月、長崎県諫早市で narynglishの英語発表会「narynglish harvest」 を開催しました。「harvest」とは「収穫祭」。これまで積み重ねてきた学びの実を、それぞれの形で持ち寄り、分かち合うための時間です。
そこには、「上手に話さなければならない」という思い込みを手放し、言葉を使って伝え合うことの喜びを分かち合う、温かく、そして確かな学びの熱を帯びた時間が流れていました。
この発表会は、単なる学習成果の披露ではありません。
学習者一人ひとりが、今の自分の言葉で世界とつながろうとする姿を共有する場でした。
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発表会の概要
今回の発表会には、未就学児から中高生、大人学習者まで、幅広い年代の学習者が参加しました。
英語絵本の発表、中高生・大人によるプレゼンテーション、海外在住メンバーによるビデオ発表、台湾・韓国との国際交流プロジェクトの報告、そして後半には来場者も参加する英語体験レッスンも行われました。
「発表する人」と「見る人」という境界を越え、会場全体で英語を使い、感じ、考える時間となったことが、この日の大きな特徴です。
「不完全さ」を受け入れる空気
コンテストではなく、発表会として
運営者naryから発表会の冒頭で共有されたのは、
「上手な英語を見せる場ではなく、挑戦する姿を分かち合う場である」というメッセージでした。
この一言が、会場の空気を大きく変えました。
ある保護者の方は、アンケートで次のように振り返っています。
完璧を目指す場ではなく、挑戦を大切にする会だと最初に伝えてもらえたことで、安心して見守ることができました。
評価される場ではなく、挑戦が歓迎される場。
その心理的安全性があったからこそ、発表は暗記された英文ではなく、それぞれの個性や思いがにじむ「自己表現」へと変わっていきました。

「Harvest(収穫)」という名前の通り、そこにあったのは優劣を競う場ではありません。それぞれが育ててきた言葉を持ち寄り、互いの成長を祝う時間でした。
質疑応答という「生きた英語」
―言葉が試される瞬間
この発表会の大きな特徴の一つが、発表後の質疑応答です。
台本通りに話す発表とは異なり、質問への応答は即興です。言葉に詰まりながらも、自分の語彙を総動員して伝えようとする姿が、あちこちで見られました。
ある中高生の参加者は、「台本にないことへの対応の難しさを感じた」と率直に振り返っています。
別の参加者も、「もっと自分の言葉がすぐに出てくるようになりたい」と語っていました。
しかし、参観者から多く寄せられたのは、こんな声でした。
流暢さよりも、自分の言葉で答えようとする姿がとても印象的でした。
英語を使う力は、こういう場面にこそ表れるのだと思います。
英語は「止まらずに話すこと」ではなく、伝えたいという意志を持って使うこと。その本質が、質疑応答の時間に浮かび上がっていました。
世代を越えて広がる刺激
学びが連鎖するコミュニティ
会場には、5歳の子どもから大人学習者までが同じ空間に集っていました。年齢も経験も異なる人たちが、「英語」という共通のツールを通して並び立つ姿は、この発表会ならではの光景でした。
大人の発表に刺激を受けたという声、子どもたちが「もっと読めるようになりたい」「書けるようになりたい」と自然に口にしたという声も、多く届いています。

大人が真剣に学び、発表する姿を見て、自分も頑張りたいと思いました。
子どもにとっても、とても良い刺激になったと思います。
誰かの「できた」が、別の誰かの「次はこうなりたい」につながっていく。そんな学びの循環が、静かに、でも確かに生まれていました。
英語は「教科」ではなく、世界への窓
何を語るか、という問い
今回の発表で印象的だったのは、英語で語られた「内容」の深さです。
国際交流プロジェクトでは、台湾や韓国とのやり取りが紹介され、中高生の発表では、オーバーツーリズムや社会課題に触れる場面もありました。


ある参観者は、こう語っています。
大人でもなかなか言えないような意見を、英語で堂々と伝えていて、とてもかっこよかったです。
英語が「点数のための勉強」ではなく、社会とつながり、自分の意見を届けるためのツールとして使われている姿は、強い印象を残しました。
「どう話すか」だけでなく、「何を話すか」。その問いが、自然と会場全体に共有されていたように感じます。
結びに:あなたが本当に伝えたい言葉は何ですか?
2026 narynglish harvest は、完璧を手放した先にこそ、豊かな言葉のやり取りが生まれることを教えてくれました。
参加者一人ひとりの胸に残ったのは、「うまく話せたかどうか」以上に、不完全なまま一歩踏み出したという確かな手応えだったのではないでしょうか。
英語は、英語学習はゴールではありません。それは、自分の内側にある思いを、世界へとつなぐための架け橋です。
この記事を読んでくださっているあなたは、英語を使って、どんな言葉を届けたいでしょうか。
正解を探す旅を少しだけ休んで、あなた自身の「本物の言葉」を、あなたの声で伝えてみてください。その一歩の先に、きっと新しい世界が広がっています。
投稿者プロフィール
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英語指導歴20年以上/英検1級/元高校英語教員
長崎県諫早市の英語教室「narynglish」主宰 吉田恵子(Nary/ナリ)
【学歴・職歴】
• 大学在学中 カリフォルニア州立大学フレズノ校へ1年間交換留学
• 2000年 長崎県公立高校教諭として採用
• 2008年 早稲田大学大学院教育学研究科 修士課程修了
• 2023年 公立高校教諭を退職後、narynglishを起業
一人ひとりの「わからない」を大切に、「つまづき」を飛躍のチャンスに変える英語レッスン。
実践的な英語力に加え、自分で考える力・継続力・非認知能力を英語を通して育みます。
中学生、高校生が将来にわたって英語を使いこなせるよう、英検対策・定期テスト・留学準備を土台から支援。
「安心して取り組める」「前向きになれる」と評判で、naryとまた学びたい!と言ってもらえる英語教室です。レッスン方法は、対面・オンライン・ハイブリッドの形式から選べます。
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